いつからこうしていたんだ？
頭の下は固く弾力があり温かい、これは膝だ。柔らかな日差しのような匂いにつつまれており、上を見上げれば影山律が天使のような笑顔を向けてくれる。霊幻の暇を持て余した手は低反発枕のような感触の律の尻を揉んでいる。現実ではありえない出来事に霊幻はこれが夢だとすぐに分かった。

ここはどこだ？霊幻は少し頭を動かしあたりを伺う。きれいに整頓されこざっぱりとした室内にいる事はすぐ分かったが見覚えのない部屋だ。霊幻新隆は見覚えのない部屋で影山律に膝枕してもらいながら尻を揉んでいる。なんで？

……それにしても揉み心地のいい尻だ。老若男女いろんな人をマッサージ…もとい除霊した経験がある。もちろん仕事中は仕事に集中し揉み心地など気にしないが。

押すと返ってくる感触が楽しい。親指でグッと押すと指を包むように凹み押し返してくる。手のひら全体で包むように掴むと尻全体を覆うことができ満足感があり、手のひら全部を受けとめる尻の感触は心が弾む。薄い布越しに揉んでいるのでこの手触りは布の筈だが滑らかだ。先程は低反発枕に例えたが、これはぱんぱんに膨らんだ水風船かもしれない。ただ柔らかいだけじゃない、洗いたての果物みたいなんだよな…。そうだこの匂いだ。この匂いは低反発枕や水風船といった無機物ではあり得ない。新鮮な果物や新緑を連想させる、いきのもの持つ瑞々しい気配が匂い立ちこちらを安心させる。

そうやって霊幻が律の尻を堪能してるというのに律はされるがままだ。霊幻はそっと律の顔を見上げる。鼻の穴全開煽り角度でもその美しさは損なわれず、イケメンは不思議だなと思った。

霊幻がそんな事を考えていると律は首を傾げ、寝ぼけてるんですか？と言った。その声は清風のような余韻を耳に残していく。聞き慣れた突き放したような物言いなのに声色は優しくいつもの冷たさがない。どういう設定だこれは？ドッキリだろうか。

しかしドッキリの看板を持った人間が現れる気配は一向になく、ということは夢だろう。知り合いの男に膝枕してもらい尻を揉む夢。なんだそれは。変質者か。しかし幸福感あふれる夢だ。この部屋を満たすゆったりとした空気は心地良い。

先程からこの尻を包む部屋着の中に手を突っ込み滑らかな肌を堪能したい衝動に駆られていたが、欲張りすぎると夢から覚めてしまう気がして出来ずにいた。