風邪を引いた話『獅子神さん、助けて〜!僕死んじゃうかも!』
「は!?待ってろ、すぐ行くから!!」
土曜の昼過ぎ、今日は株式市場も休みで、特段急ぐ仕事もなく、時間をかけてカレーでも作ろうかとキッチンに立っていたところだったが、真経津から冒頭の電話がかかってきて家を飛び出した。
あの一言を最後に、真経津に何度かけても電話が繋がらない。強盗に入られた?それとも、怨恨のある人物からの報復?最悪の想像をしながら、獅子神は急ぎ車を走らせた。
真経津のマンションに着くと、インターホンは押さずに合鍵でエントランスを抜ける。鍵は持たされているがいつも勝手に入るのは忍びなく、なんとなく真経津に開けてもらっていたが、非常事態のようなので致し方ない。
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