幼馴染みの長谷部が何故かほぼうちに住んでる話23時15分
平日は測ったようにほぼ毎日、
この時刻にインターホンのベルが鳴る。
誰が鳴らしたのかは判りきっているものの、一応モニタで確認すればやはりいつものあの男が仏頂面で突っ立っていた。
「夜分にすまん。俺だ。入れてくれ」
「あ~…。いまあけるね」
「ああ」
ドアを開けると淀んだ空気を纏った男……同い年で実家が隣同士のガチ幼馴染み、長谷部国重が気だるそうに入って来た。勝手知ったる我が家みたいに流れるような手付きで鍵を閉めチェーンをかけ、靴を脱いでスーツのジャケットをハンガーにかけている。
「おつかれー」
「受けとれ、土産だ」
「ありがと。うわ!これ知ってる、美味しいけどすっごいお高いお菓子だよね。どうしたの?」
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