わかってた———俺はこれから、彼を手に入れるための準備をしに行く。
ここは、俺と彼の家。
まだ脳は覚醒しないと思うが、逃げると言う選択肢があったら困る
だが、それも対策済みだ、この部屋から出る術は俺だけにしかわからない。
らしくないが、これから起こるであろう事に心底わくわくして、足音がたってしまう。
「…っあ…?」
そうか、やっと起きてくれたんだな。
かわいい、俺の、君。
「そう、なんですか…今の俺にはわからなかったけど、よろしくお願いします」
俺の名前を教えたら、少し考え込んでも、思い当たる節はなかったらしい。
まだ頭が醒めなくて、ボーッとしている頃だろうか。
そうしていると、少し蹲った彼がベットのシーツを乱した。
「ぅ、」
「……どうしたんだ?頭が痛いのか?」
この質問では、バレてしまうか?…まぁ、分からないか。
そんな事を考えながつつ、彼の頭は、自分を介抱してくれる男について思い出そうとしているようだ
一生懸命で、愛らしい
「本当に大丈夫か?顔色が悪いな…とりあえず水を持ってくる_____ 」
さあ
思え
行くな、と
「?」
あぁ…思い通りだ とても嬉しい
俺の手を掴んで、引きとめたままの彼が、愛おしくてしょうがない。
「…れいくん?」
「…あ」
そういえば、彼からはいつものような覇気がない
きっと…薬の量が丁度良かったんだな
そうだな、失敗しても、俺はどんな彼でも愛せるから…
だが、あんなにも自分のことを知っている男のことを、彼は
疑いもなく俺を信じているようだった。
…………これは、かなり上手くいっている
こうしただけで、こうするだけで君は、俺を見ていてくれるんだろう___?
「大丈夫、俺はずっと、君の側にいるよ」
その言葉で、彼をさらに縛った。
さっきからずっと、頭が痛いんだろうな。
そのまま頭が醒めず、ボーッとなってしまえれば、君は…
君は
「君は俺のこいびとだよ」