お前はいつもそうだった。
一度だって私を正面から見たことがない。
お前はいつもそうだった。
一度だって私が欲しい言葉を発しない。
お前はいつもそうだった。
一度だって私に笑顔を向けたことがない。
お前はいつもそうだった。
お前は、お前は、お前は。
お前は、お前は、お前は。
「モクマ」
その名を口にすると、心の臓が千切れるほど痛む。
「モクマ」
その名を口にすると、目頭がきつく痛む。
「モクマ」
その名を口にすると、全身から汗が吹き出す。
「モクマ」
何故、お前は私を見ない。
何故、お前は笑わない。
何故、お前は私から遠ざかる。
何故、お前は。
「モクマ……」
この痛みはなんだ。
この苦しみはなんだ。
この熱さはなんだ。
この煩わしさはなんだ。
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