interested 忠が新しい趣味を始めた。ショックだった。かと言って愛之介にはとやかく言う権利もなかった。言えば忠は聞いてくれるのだろうが、止めろなんて言える訳がない。そういう台詞はこの世で一番嫌いなのだ。
けれど寂しいものは寂しい。これくらいで寂しいと思っているのも嫌だった。万が一忠に知られたら、恥ずかしくて仕方なくなる。
なんだってそんな趣味を選んだんだろう、と思う。人の趣味にケチをつけたくはないが、ついつい思ってしまうのだった。忠には内緒にするつもりだ。だって、言えば愛之介の方が照れてしまう。二人では楽しめないような趣味をどうして選んだんだ、と言いたくて仕方なかったのだ。
忠はクロスワードに夢中になっていた。仕事の合間や、休憩の残り時間を使って、自分のペンを持ちながら嬉々とした顔で本を見つめている。単純なジェラシーだった。何故こっちを見ていない、と言う嫉妬だった。
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