かっこいいとは 灰の中で目を覚ました。燃え尽きたはずの手が見える。あたりは暗く、月明かりだけがあたりを照らしていた。
「よお」
それは大魔道士の声だった。立ちあがろうと地面に手をつくが、身体が思うように動かなかった。
すると目の前に大魔道士が降り立った。灰が舞い上がって月光に照らされる。
「私は……死んだのではないのか」
戦いに敗れた記憶がはっきりと残っている。だが消滅したはずの体が元通りになっていた。消滅した肉体は回復呪文でも元には戻らないはずなのに。
「死んでねえからそこにいるんだろ」
大魔道士も戦いで負ったはずの傷が癒えていた。夜になっているということは、あれから時間が経っているのだろう。
「ハドラー様は」
「アバンが倒しちまったぜ。さて、お前はどうする」
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