end point③快晴。外出日和。こんな日は自分の帆船で海に出るのも悪くない。
しかし、龍水は今日も手土産を持って不死身の屋敷に足を運んでいた。果物は何が好きだろう。リンゴ?グレープ?とにかく近場で採れたものをひと通り詰めてもらった。屋敷に段々近づいていくといつもは聴こえない音色が聴こえてくる。
ピアノの音?
以前屋敷を一部見たときピアノの置いてある部屋があったなと思い出す。まさか彼が弾いているのだろうか。屋敷に近づくと音が止み、いつもの帽子を被った彼が玄関から顔を出した。
「よくもまぁまた来る気になったね」
「行くと言ったら行く。先程の音色は貴様か?」
「なんだ聴こえてたの」
「ここ一帯は静かだからな。音がよく通る」
話していると青年はドアを開けたまま中に戻っていった。入っていいということなのだろう。
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