例のあの古代魚「ナジーンさん見てください!」
楽しげに声を弾ませながら現れたのは大魔王の少女だった。その手には釣り糸が握られている。
魚特有の生臭い臭いに共に居たユシュカは思わず鼻をつまんだ。
少女の持つ釣り糸の先には不思議な魚がぶら下がっている。目と口が正面についた間抜けとも言える地味な色合いの魚だ。
「サカバンバスピスって魚らしいです!」
楽しくなったのかぴょこぴょこ跳ねながら少女はナジーンに嬉しそうに報告をする。まるではしゃぐ子どもだ。
「っぷ、ど、どこでそんな魚釣ってきたんだ? えーっと、サバカンバ……?」
そのユニークな魚にウケたらしいユシュカが笑いながら魚の名前を口にする。
「サカバンバスピスですよ。あなたヒッピャペの時も言えませんでしたね」
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