おやすみ、また明日。くぁ、と今日1番の大欠伸が出た。
酸素を取り込むと同時に、生理的に滲む涙を拭うように目を擦ると、頭上からクスクスと控えめな笑い声が聞こえた。
「これはまた随分と豪快な欠伸ですね」
そろそろ寝ますか?と優しく声をかけながら頭を撫でるジェイドに緩く首を横に振る。
「いい。まだ寝ない。」
寝たくない、と言うのが正しかったかもしれない。
旅行誌やら地図やらが広がったベッドに寝転んでいるオレの脳内から、長く悩んでいた反動からか眠気が顔を出していた。それを裏付けるようにもう一度、今度は先程よりも小さめの欠伸が込み上げてきた。
その姿にジェイドはまた小さく笑うと、頭にやっていた手を頬へと移動させた。
「おやおや、口ではそう言っても身体の方はもう寝たがっていますよ。」
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