慣れないことはするもんじゃない 着せられた衣装を見下ろしながら、思わずため息をついてしまう。
今すぐ帰りてえ……けど、賢者さんに頼み込まれたうえに北の双子に圧をかけ……じゃない、泣き付かれちまったら、断れねえもんなあ。
「それではブラッドリーさん、ネロさん、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくな」
「わざわざ俺様が来てやったんだ。男前に撮らなきゃ承知しねえぞ」
隣では同じように用意された衣装に身を包んだブラッドがふんぞり返っていた。
たまに賢者の魔法使いへの取材の依頼が舞い込むことがある。流石に全部に対応はしていられないが、魔法使いのイメージアップを図るためにも、という理由でいくつかは北の双子が引き受けさせるのだ。
そして今回は俺とブラッドの二人の番。というか俺たちへのご指名だったらしい。
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