掴んだこの手を離すなブレイバーンの両掌の上でぐっと伸びをする。
春のぽかぽか陽気に「ふぁ~っ」と欠伸すら出るのだからイサミ自身もたるんでいるなと感じるが
今日は、2人でゆっくりしようと決め
日光浴でもしながら花見を楽しもうとのブレイバーンの提案でこうして桜を2人で愛でていたのだ。
気温は20℃
少し汗ばむ程度のちょうど良い暖かさ
ブレイバーンと同じ高さでゆったりとくつろぎながら伸びをするイサミの姿は猫のようにも見えるだろう。
『イサミ、暑くはないか?』
「……ん、大丈夫だ」
ぬっ、とブレイバーンの頭がイサミの少し火照った身体に影を落とし涼しい風を贈ってくれるのだから。
『イサミ、お茶と桜と言えばJapanでは三色DANGOだと聞いてな用意してみた』
ブレイバーンのコックピットが開かれ、用意されていたブレイバーン印の風呂敷と水筒を受け取り、開けるとピンクと白と緑色の三色団子が3本入っていた。
ふんわりと香るよもぎの優しい匂いは懐かしい気分になる。
「ありがとう、ブレイバーン
……いただきます……んっ……美味いな」
もちもちとした弾力。
もち米ではなく、上新粉団子特有の柔らかさ、優しく包むような味わい。
最後のよもぎも美味しいく、その後にお茶を飲むとさらに美味しく感じる。
「ほら、ブレイバーンも食べろよ」
ブレイバーンが食べやすいように団子を串から抜いて、『あ~ん♡』と口を開けるブレイバーンにイサミは苦笑しながらも同じように「ほら、あーん♡」と言いながら食べさせる。
『イサミにこうして食べさせてもらうと133倍美味しいな』
花より団子よりイサミなブレイバーンと笑いながら残りも仲良く食べ終わる。
ふわりと散る桜の花弁が眠るイサミの鼻先に蝶のようにピタリと止まり、風と共に飛び立った。