2人だけで旅行に行ってイチャイチャするお話!お願いいたします☺️「イサミ!」
当たり前のように俺より先にいて、
真っ先に俺に気づくブレイバーンに思わず顔が緩む。
「待たせたか?」
「先ほど来たところだ」
「嘘つけ、手が冷たいぞ」
ブレイバーンの手を取りすっかり冷えた指先を握り、温める。
「イサミがこうして温めてくれるから、大丈夫だとも」
「……バカ」
ブレイバーンにエスコートされ、
愛車であるバーンドラゴンに揺られて都心からほんの数十分で海の匂いが近くなる。
夜のオレンジ色や赤いライトで照らされたブレイバーンも格好いよく、あっという間に目的地に到着してしまう。
「ここ、こんな時間まで開いているんだな」
「昼とは違った大人の楽しみ方ができると評判なんだ」
ブレイバーンに連れられて来た場所は小さな遊園地。
小さな観覧車と小さなジェットコースターがあり、
なんと水族館まであるのだ。
昼間の家族で賑わうイメージは一変し、
夜でアップライトされた小さな遊園地はまるで秘密の玩具箱の中に迷い込んだような気分になる。
「イサミ、危ないぞ」
「ぁ、ありがと」
ふらふらと歩いていたら、ブレイバーンにぎゅっと抱きしめられ、危なく遊園地に流れる小さな川に落ちるところだった
「……綺麗だなイサミ」
「ぁ、……綺麗だ」
小さな川に満点の星空が映り、小さな橋の上に立った俺達は天の川にいるようだった。
川の流れに従い、ゆっくりと進むと
あっという間に最奥の観覧車にたどり着く
「さあ、イサミ、手を」
「ん」
赤のゴンドラがタイミング良く俺達をゆっくりと空へと誘う。
「イサミ、綺麗だ」
「そうだな」
大人2人が乗れば自然と触れあう距離になる小さなゴンドラ。
ブレイバーンの呼吸や、息遣いまで聞こえる距離。
キラキラと光るブレイバーンの唇を見つめていたら、どんどんと心臓の音と同じスピードでブレイバーンとの距離が0になる。
「あ、終わっちまったな」
「もう1周するかイサミ?」
「また、な」
「ああ、また、だな」
何度だってブレイバーンとキスをしたいが、きっとあのまま2人きりで密室にいてしまえば我慢できなくなってしまうだろうと、ブレイバーンの袖を引く。
それだけで、ブレイバーンは俺の言いたいことを理解してくれたのか、
頬に薔薇のようなピンク色の花が小さく咲く。
2人で照れながら、水族館へと向かう。
1階は、水族館。
地下には、バーがある。
「イサミ、せっかく水族館に来たんだ見て行かないか?」
「ん、行く」
チケットを購入し、入ると昼と変わらずに薄暗い館内の水槽には魚達が仲良く気持ちよさそうに泳いでいた。
「イサミはどの魚が好きなんだ?」
「やっぱり鮫、かな」
「それは初めて聞くな」
「お前みたいで格好いいだろ?鰭とか」
「私は、試されているのだろうかイサミ?」
ブレイバーンの顔が面白いくらいに赤くなる。
「そ、その、鮫は魚の中では珍しくするんだイサミ」
ブレイバーンが俺の手を取り、優しく掌に魚に交わる。と書く。
「あ……」
眠たそうな俺に似た鮫が、目の前で大きなブレイバーンに似た鮫と交尾を始めたのだ。
俺に似た鮫のスリットからアレが出ているから、間違いなく雄だった。
「イ、イルカもするだろ?」
「イルカは哺乳類なんだイサミ」
「そ、そうなのか」
「そうなんだ」
激しくなる鮫の雄同士の交尾に恥ずかしくなりながらも、満足そうに寄り添う2匹の姿を見てようやく、魔法が解けたように出口にたどり着く。
「……イサミ、君とホテルに行きたい」
「俺も」
小さな遊園地のすぐ隣にあるホテルへと駆け込んだ俺達はあの鮫のように、激しく相手がどこかに行かないように抱きしめ、満足して寄り添った。