ゆめうつつ 藍宗主の閉関のついては世家だけでなく近隣の民でさえ憂いていた。
それほど藍曦臣という人物は人に愛されている。争いで物事を解決する事を良しとせず、人と人を繋ぎ合わせる事で答えを見出そうとする姿に多くの者が彼に憧れと期待を抱いているのだ。
藍曦臣が閉関していると家僕から聞いた江晚吟の反応はそうか、の一言だった。続けて、藍宗主が閉関しようがどうでもいい、と冷たく言い放ったが彼の本音はそうではなかった。
彼は座学中の頃から藍曦臣に密かに懸想している。だから内心はずっと彼のことが気になり執務も放り出してしまいたい。彼を煩わせるもの全てを取り除き、また陽の光の元に顔を覗かせてくれないか、と江晚吟は望んだ。
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