あたたかい場所「ベッドが、あったかいなって」
「は?」
また酒を飲み過ぎてしまったのか、覚束無い足取りでふらふらとこちらにやって来たネロはブラッドリーの隣に腰掛けると、唐突にそう言った。
今日も敵意を向けてきた他の海賊船を華麗に追い返して、そこの積荷は全てこの海賊団が根こそぎかっさらってやった。そしたら思いの外上等な酒も多く、その成果を見て全員が上機嫌になった。となると、やることと言えば一つしかない。こうして飲めや騒げやの状態が出来上がることは、もはや自然の摂理だ。
いつもの様に労いを込めて杯をぶつけ合って、ブラッドリーも酒を煽る。そんな中で、一際大きな声で騒いでる一角を見つけた。その中心を見ればそこにはネロの姿がある。そいつは手下達にやいのやいのと揉まれながら、相変わらずぼけっとしているがそれでもどこか照れくさそうにしながら団員との話に興じていた。
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