ラピストリアの穴(1) 放課後のラピストリア学園、その食堂の一角で、大量のお菓子がテーブルの一つを占拠していた。パフェにタルト、ショートケーキにガトーショコラ、色とりどりのマカロン。積み重なったパンケーキの上にはバターが溶け、メープルシロップがしたたり落ちている。食堂で注文できるおおよそ全ての洋菓子がそこに並んでいた。
スイーツの中に埋もれるようにして、一人の少年が座っていた。彼は上品な仕草でケーキを口に運び、その小さい口を小動物のように動かしている。時折俯いてフォークの先端を見つめ、ぼんやりと考え込んでいる様子だ。
「いいないいな~! わたしもあれ食べたいよ~!」
「どれどれ、お菓子ならおにいちゃんが買ってあげるよ……って、あれは凄いな。理事長先生って甘党だったんだ」
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