『禁じられた遊び』①芝大寿「おまえはなぜ乾に尽くすんだ」
打ち合わせの合間に、ふと尋ねられた。聞いたくせに、芝大寿はさして興味のなさそうな顔で、九井に視線すら向けない。彼にとってはどうでもいいことで、けれど確認はしておきたいというところか。
その質問は九井にとってありきたりで、なんどとなく繰り返されてきた。幼馴染だから。放っておけないから。偽りの言葉で誤魔化してきたが、大寿になら本当のことを言っていいかと、気まぐれに思った。黒龍十代目の実態は、芝大寿の暴力的カリスマと、九井一の潤沢な資金によって成り立っている。実質、パートナーに近い存在だと思う。それは大寿自身も自覚しているだろう。だからこそ、大寿は九井と乾の関係を聞いてきたのだ。
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