桃の熟れる間 師弟は三世であるらしい。
人間の時の記憶は朧げにしか覚えていない。でも不意にどこから仕入れてきたのか分からない言葉を思い出した。書物を読んだか耳に挟んだのか詳細はわからないが、師弟は前世、現世、来世で繋がっているらしい。親や夫婦の繋がりよりも濃く幾度も巡り合う縁であるともいう。
あたしには師匠と呼ぶべきひとがいる。兄と呼んでもいいかもしれない。あたしが人間として死んだ後に結ばれた師弟関係であるが、この縁は現世なのか来世なんだか分からずあたしには計り用がない。あたしはもう既に来世という感じではあるが、師匠──大哥は現世なのだろうか。そもそもあのひと、それ以前に妖精たちに三世の概念があるという事も微妙だ。
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