君に見せたい「こんにちはー、ポップ、いる?」
ガラガラと戸が開く。暖簾をくぐって入ってきたのはダイだ。
「おう、ダイ」
軽く手を上げると、おれは再び手元の漫画本に集中した。
「いらっしゃい、ダイ君。マァムちゃんも」
親父の声にどきりとして見やると、ダイに続いてマァムが入ってくるところだった。二人とも制服のブレザーを着て、学生鞄と膨らんだサブバッグを持っている。部活帰りなんだろう。
「おじさん、お邪魔します。ああお腹すいたぁ」
「おれ、炒飯セット、大盛りで」
「私中華そばと餃子と天津飯お願いします」
「よく食う女だなぁ」
「ポップ、何か言った?」
「いいえ〜」
ダイとマァムは同じ中高一貫校に通っていて、それぞれ剣道部、空手部に所属している。運動部は腹が減るらしく、帰る前ににうちの店に寄って腹拵えすることはしばしばだった。
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