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    saiha(本垢)

    @saihatesaiha
    さいはてラヴファクトリー本部
    現在セブンスドラゴン2020のよその子カップリングに狂乱中
    狂った情緒を吐き出した物置き場
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    saiha(本垢)

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    翔冴くんゲームの攻略本と設定資料集(架空)
    という名の、捏造シナリオ
    気が向くと増える

    ・プロローグからチュートリアル

    「――やあ。」
    (一人称視点。ぱちぱちと視点主が瞼を瞬かせる。仰向けになっている視点主を、銀髪の美青年が、薄ら笑みを浮かべながらこちらを見下ろしている)
    「目が覚めたみたいだね。何があったか、覚えてるかい?」
    (青年が空を指さす)
    (目を向けると、巨大な生き物が空を飛ぶ影がいくつも過ぎ去っていくのが見える)
    (三人称視点の映像。路地裏。瓦礫を背に倒れていた主人公の姿が映し出される)
    (主人公はそれなりに年を重ねている。少なくとも、三十代後半以降であることは推測できる風貌をしている。しかし、自分より一回り以上年が離れているであろう相手に対して、青年はまったく不遜な態度を崩さない)
    「本当に突然だったよね。今日が『用済み』を始末する日でよかった。これだけの準備がなかったら、アレに一方的やられてしまっていただろうからね」
    (アレ。青年の言葉を受けてぼんやり地面へと目を向ける。自分が殺した筋者たちの死体いくつかと、小型のドラゴンの死体がある。手元には、自動小銃をはじめとした各銃火器が転がっている)
    「……まだぼんやりしているみたいだね。目の前に僕がいるのに、殺そうとしないなんて。僕のことを忘れちゃったのかな? ……そんなわけないよね。それとも、まさか、気を失ってる間に殺し方を忘れちゃったとか?」
    →はい いいえ
    「くく、はははっ……、へーえ、忘れちゃったかぁ。そっか、そっか」
    「いいよ、思い出させてあげる。しっかり、じっくりと、ね」
    (倒れていた主人公が起き上がり、ムービー終了。ゲーム画面へと移行する)
    (少し間を開けたところに青年が立っている)
    「そうだな。うん、まずは基本から。……ふふ、手に持ってなくても、君は身体のいたるところにナイフを仕込ませているだろう? どんなときでも相手の喉を切裂けるように……そうだよね? ほら、試しに〇ボタンで攻撃してごらんよ」
    (通常攻撃。攻撃を行うと、青年は愉快そうな笑い声を上げながらひらりとかわす)
    「く、っははは……! いいね、じょうずじょうず」
    (以降、銃の使用方法、武器切り替えや弾数消費、リロードに関する説明。銃攻撃のチュートリアルで、青年は至近距離の銃撃を容易く避けてしまう)
    (彼は言葉遣いこそ穏やかで丁寧だが、態度はこちらを見下し、馬鹿にしたようなもの)
    (攻撃ボタンを連打すると、「あはは、必死になっちゃって、かわいいね」という隠しボイスを聞くことができる)
    (チュートリアル後、ムービーへ)
    「うんうん。上出来、上出来。そうしたら――」
    (轟く竜の咆哮。殺気を感じて大きく跳ねるように前転、翔冴が身を翻すと、先ほどまで立っていた場所が炎で焼け焦げている)
    (炎を辿ると、巨大な飛竜が、トカゲのようにビルに張り付き、こちらを見下ろしている)
    「――そろそろ行こうか。逃げ場があるかはわからないけれど……、まあ、逃げなければ死んでしまうからね」
    (ハッと青年を振り返ると、いつの間にか姿を消している)
    (どこか遠くから声だけが聞こえる)
    「僕は先に行ってるよ。生き残って、追い付いて――僕を殺すことができるかな? 翔冴」
    (ここで初めて主人公の名前が『翔冴』であることがわかる)
    (この時点では謎の青年の名前や正体は一切不明である)
    (翔冴が姿を消した青年を探すように辺りを見回す中、飛竜が容赦なく炎を吹きかけてくる。翔冴は舌打ちをし、迫りくる炎から逃げるべく、路地裏から大通りへと駆けだしていく)

    (チュートリアル終了。以降、第一ステージ『歌舞伎町』の探索へと移る)
    (HPゲージはマスキングされている)


    ・第一チェックポイント

    (最初の飛竜から逃げきるとイベント。荒廃したカフェテリアを通り過ぎようとすると、中から声がかかる)
    「なんとか乗り切ったみたいだね、翔冴。すごいじゃないか」
    (相変わらず見下したような半笑い。翔冴は無視して通り過ぎようとする素振りを見せたあと、不意を打って青年へナイフで斬りかかるが、ひらりと躱される)
    「おっと」
    (間髪入れずに機銃の掃射を浴びせるが、これも超常的な身体能力によって躱されてしまう)
    (馬鹿にするような笑い声)
    「そんなデタラメに撃っちゃって。弾が勿体ないじゃないか。僕に使ってる場合じゃないだろう?」
    「黙れ『天駿』。お前は、お前だけは、……お前だけは絶対に殺す」
    (青年の名前が明らかになり、主人公と青年は何らかの知り合いであることが仄めかされる)
    「ふーん。僕を殺すのに全力を出したら、今度こそ『あいつら』から逃げられなくなっちゃうよ?」
    「構うものか。お前が殺せればそれでいい。そのために身に着けた業だ。お前の息の根を止めた後なら、あの育ち過ぎた爬虫類どもの餌にされたとてもう俺の知ったことではない」
    「へえ、愛されてるなぁ」
    「っ……!」
    (翔冴の顔色が変わる。あからさまに『地雷を踏まれた』といった様相。残弾数に構わず再び銃を連射しようとするが、瞬間目の前から天駿の姿が消える)
    「でもざーんねん。前にも言っただろ? 『お前は一生僕には勝てない』って」
    (気が付くと天駿は翔冴の背後にいる)
    (天駿は右手で銃の形を作ると、左手で勝手に肩を組んできながら、翔冴のこめかみにあててくる)
    「はい、バーン」
    (途端、ぐらりと眩暈が翔冴を襲う。天駿を振り払いながら倒れまいと必死に踏ん張り、片手で額を抑える)
    (何か違和感に気が付いたような素振りを見せた翔冴は、目を開き額を抑えた手を眼前にもってくる。それなりの量の血が手に付着している)
    「な、ん、」
    (驚き目を瞠る。苦痛に歪む顔。身体を見下ろすと、致命的ではないとはいえ所々に火傷や切り傷ができている)
    (天駿が翔冴に正体の知れない攻撃を行ったように見える。しかし、実際は飛竜との戦闘で負った傷がマスキングされていたのを自覚させただけである)
    (痛みに息を上げ、身を屈めながら天駿を睨みあげる)
    「おまえ、お前、俺に、なにをした……ッ」
    「ふふ……」
    (翔冴はとうとうカフェテリアの床に蹲る。外のドラゴンの気配に警戒する素振りを見せながら、這いつくばって店の奥に身を隠す)
    (外の空はもう暗い)
    (天駿が悠々と歩いて翔冴に近づいてくる。しゃがみ込み、目線を合わせてくる)
    「無理はしない方がいい。生き残りたければね」
    「俺は、お前さえ、殺せれば……」
    「そんな有様じゃ僕を殺すどころか傷一つつけられないよ」
    (壁を背にもたれかかる翔冴の顔に、膝立ちになった天駿の顔が近づけられる)
    (唇や睫毛があと少しで触れそうな距離。ただならぬ空気。既にその手のプレイヤーは二人の仲を邪推し始める)
    (ただただ嫌悪感に満ちていた翔冴の表情に戸惑いが露わになる。天駿はおだやかに目元を緩め、馬鹿にするような表情とは一転、愛情深い男の顔になる)
    「今日はもう寝なよ。辺りは僕が見ていてあげる」
    「だれが、おまえの、言うことなど、」
    「強情だなぁ」
    「……いいから。――『おやすみ』、翔冴」
    (翔冴は途端急激な眠気に襲われる。次第に暗転していく画面)
    (真っ暗になった画面に、天駿が口ずさむ『大いなる恩寵』が流れる)
    (第一チェックポイントの『夢』へと続く)


    ・第一チェックポイントの『夢』

    (大学構内と思しき場所。翔冴によく似た年若い青年が、壁の掲示物を眺めている)
    (期末試験の合格発表の掲示。ざっと一瞥する青年。表情は特にこれといって変化しない。無事通過しているようだが、喜びもしない。至極当然といった様相)
    (確認を終えて通り過ぎようとして、一枚の掲示物が目に留まり、ふと足を止める)
    (同じ掲示物を見ていた男子生徒二人が何やら話をしている)
    「また学生賞の受賞、岸先輩かぁ」
    (掲示物には、今年度の学業成績優秀賞が掲示されている。これは、学業が最も優れる者を学部ごとに一人選出するもののようだ。経済学部の項目には、岸天駿の文字がある)
    (テストの合格発表の掲示内容と、この学業成績優秀者を発表する掲示内容から、翔冴と『岸天駿』が同じ学部であることがわかる)
    (男子生徒二人は尚も会話を続ける)
    「こんだけすげえと萎えるよなあ。俺ら、岸先輩がいる限り絶対受賞できねえじゃん」
    「一緒にすんなよ。つーか、お前は賞以前の問題だろ。岸先輩がいなくてもお前は一生ムリだよ、ムリムリ」
    (二人は軽口を叩きあいながらやがて掲示物の前から過ぎ去っていく)
    (翔冴はその名前を見て微かに眉をひそめる。しばらくじっと『岸天駿』という名前を眺め、掲示物の前から歩き出す)
    (掲示物に意識をとられていた翔冴は、軽く誰かにぶつかってしまう)
    「おっと、」
    「あっ、……すみません」
    (距離をとってから顔を上げる)
    (翔冴は一瞬言葉を失う。光の環をつくっているなめらかな銀の髪と、長い睫毛。整った目鼻立ち。すらりと伸びた手足、均整のとれた背格好)
    (現実感のないほどに優れた容姿をした青年が、翔冴の目の前に立っている)
    (『天駿』と呼ばれていた男性と全く同じ姿をしている)
    (プレイヤーは、現実における翔冴と天駿の年齢差と、この夢における翔冴と天駿の年齢差が噛み合わないことに疑問を抱く)
    (『天駿』と同じ姿をした青年は、にこにこと笑っている)
    「ふふ。僕の顔に何かついてる?」
    「……いえ」
    (顔を少し赤くして視線を逸らしてから、気を取り直したように表情を引き締めて、先まで見ていた掲示物を見る)
    「岸先輩、ですよね」
    「へえ。僕のこと知ってるんだ?」
    「有名人ですから。……学業成績優秀者に、二年連続で選ばれたって聞きました。おめでとうございます」
    「ありがとう。君は一年?」
    「はい」
    「学部は?」
    「経済です、岸先輩と同じ」
    「じゃあホントに後輩だ。初対面なのにお祝いの言葉をもらえるなんて、嬉しいな。このまま三年連続でもらえるように頑張らないとね」
    (翔冴の目つきが鋭くなる)
    「意外です。岸先輩も『頑張らないと』とか言うんですね」
    「……どうして?」
    「先輩くらい優秀だとあっさり賞を取ってそうなので」
    「そんなことはないよ?」
    (『天駿』は相変わらずニコニコと笑っている。それを見て、翔冴はますます表情を険しくする)
    「……ぶつかってすみませんでした。それじゃあ、俺はこれで」
    (『天駿』の返事も待たず、翔冴は脇を通り抜けてせかせかとどこかに行ってしまう。その足取りからは苛立ちのようなものが見てとれる)
    (一人残された『天駿』にフォーカスされる。天駿は振り返って翔冴の背を見送りながら、にっこりと笑って細めていた目を開く)
    「へえ……」
    (不穏な笑み。何かを企てるような顔)
    (靄がかかるように暗転。第一チェックポイントの夢が終了する)
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