collarless定例会議を終え、ヒーローたちは各々席を立つ。
ざわざわとした喧騒が遠ざかり、会議室にはノヴァとヴィクターの二人が残された。
「ヴィク、もういいよ」
ノヴァが後ろ手に扉に鍵をかけ振り返る。視界の先には、いささか顔色の悪いヴィクターが立っていた。
「……なんの、ことでしょう」
顔色が悪いといっても、元々色素の薄いヴィクターの顔色の変化を察せる者は少ない。本人も隠すことが年を重ねるごとに上手くなってきているため、彼の後輩にあたる10期生から下のヒーローたちは絶対に気づかないだろう。
「『座れ』ってCommand、出したほうがいい?」
「……いえ」
優しいままのノヴァの言葉にわずかに宿る圧に、ヴィクターはひとつ溜息をついて近くの椅子を引いて腰掛けた。
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