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    HayateFuunn

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    HayateFuunn

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    押忍エリの🌪️と🧪
    ちょっと見栄張った🧪先生

    「外出中」「先生……、と」
    保健室の扉を開けると、いつも先生が座っているデスクにその姿はなかった。
    「いない……なら外のボードに一言書いてあるよな……トイレとか?」
    絆創膏一枚あればよかったので、先生にはあとで言うとして戸棚から一枚だけ拝借しようとそっちに足を向けたとき、奥のベッドのほうからごそごそと誰かが寝がえりでも打ったみたいな音がした。
    よくよく見ればカーテンが閉められていて、具合が悪い生徒かはたまたレンが寝ていたのだと気づいて、そこまで大声を出していたわけではないけど思わず手で口を塞いでいた。
    レンなら起きないだろうけど、他の誰かだったら悪い。
    そう思って物音を立てないようにしようとゆっくり戸棚の戸を開けようとしたら、そのベッドから声がした。
    「……どなたか、いるのですか?」
    「!」
    その声は、捜していた先生の声だ。
    「え……先生?」
    「その声は……ガストですか。また喧嘩でもしてきたのですか? 少し待ってください、薬箱を開けますから」
    カーテンが開かれ、先生が顔を出す。
    戸棚の戸を開けながら俺をじっと見る。
    「どこですか?」
    「え? あ、えっと、喧嘩じゃねえよ? 大したことないんだけど、授業で指きっちまって、絆創膏もらえたらそれで」
    言いながら左手を見せる。家庭科の調理実習の最中、包丁で指を切ってしまったのだ。一応水で傷口は洗ってきたけど、ちょっと深くやっちまったみたいでまだじんわり血が滲んでいた。
    「ふむ、分かりました。消毒をしますから、そこへ座って」
    「本当に絆創膏だけで」
    「座りなさい」
    「ハイ」
    有無を言わさぬ、と言った語気に素直に座る。保健室の先生に逆らってはいけないのである。
    向かいに座った先生は、俺の手を取って改めて傷をじっくりと見つめる。
    「いっそ切り落としたほうがきれいに縫合できますね」
    「怖ッ養護教諭がそんなこと言っていいのかよ」
    「冗談です」
    「先生マジトーンだから冗談に聞こえねえんだって」
    言い合いしてる間に、先生はテキパキと消毒をしてガーゼを小さく切りテープで留めた。
    南校の先生はツバつけときゃ治るとか言ってたのに、学校によって先生に当たりはずれがあるのはマジだ。
    「……大げさじゃね? ちょっと恥ずかしいんだけど」
    「適切な処置です。気になるなら、家に帰ってから絆創膏に貼り替えるといいでしょう。貼り替える時もきちんと消毒をしてからにするのですよ」
    「はーい」
    先生は片づけを始めたから、俺も立ち上がってぐっと伸びをする。
    ついでにさっき先生が出てきたベッドを覗くと、誰もいなかった。
    「あれ?」
    「どうしました?」
    「先生さっき、あそこから出てきたよな? てっきり誰か生徒がいるんだと思ってたんだけど」
    「掃除をしていただけですよ」
    「ふぅん……?」
    その割には、掃除道具は見当たらないしベッドの上もシーツがめくれてたりする。
    まるで、さっきまで誰かが寝てたみたいな……。
    「……もしかして、先生が寝てた?」
    振り返って先生を見てみると、戸棚に消毒液なんかを入れていた背中が一瞬固まった。気がする。
    「当たり?」
    「……。少し、目眩がしたので」
    「え、大丈夫かよ」
    「大丈夫です。多少回復しましたから」
    戸棚を閉めた先生が俺を見る。元々肌が白いからっていうのもあるのか、全然具合が悪そうには見えなかった。
    「あ、だから入ってきたとき最初反応なかったのか。えぇ、無理して起きてこなくてよかったのに」
    「ここは私の管轄ですから、備品が知らぬ間に減っていては困ります。今回は帳簿も出していませんでしたし……」
    「帳簿?」
    「私が外出している際に備品を使うときは、何をどれだけ使ったかをメモする帳簿を置いていくのです。……まあ、それでも書き忘れていく生徒もいるので実数と合わなかったりはするのですが……」
    「はあ……」
    几帳面そうな先生らしいというか、なんというか。
    「んーと……じゃあまあ、ありがとな先生。ちゃんと休めよ」
    「生徒に言われるとは……。ええ、ありがとうございます。貴方もその指、お大事に」
    「うん」
    保健室を出て扉を閉めながらちらっと見ると、よく見えなかったけど先生は椅子に座ってこめかみの辺りを抑えているように見えた。
    本当に具合が悪いんだろうか。せっかく休んでたのに、俺が顔出したせいで起こしちまったのは申し訳なく思う。
    ちょっと心配だけど単なる不良生徒の俺じゃ、傍にいたって何をすればいいのかなんて分かんないし、それこそこれ以上生徒が居座ったって休めないだろうし。
    養護教諭なんだからどうすればいいかは先生が一番分かってるはずだ。
    ホワイトボードが目について、マーカーをちょっとだけ借りてから教室に戻った。
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    💖❤💕😭😭😭😭👏👏👏💘💘💘
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    HayateFuunn

    DONE貴方はノヴァヴィクで『名前を呼んで』をお題にして140文字SSを書いてください。

    140字をゆうに超えた
    まだお互い上手くやれていた頃
    ヴィクターと呼んでみてください。
    唐突な言葉にヴィクの意図を掴みあぐねて、瞬きをして振り返る。
    ソファで寛ぐヴィクは向こうを向いていて表情は読めなかった。
    「えと……ヴィクター?」
    ひとまず望まれるままに呼んでみるも、違和感が物凄い。
    ヴィクターと呼んだのなんて、それこそ出会った頃の初めの数回だ。たった二文字言うか言わないかだけなのに、他の人は皆ヴィクターと呼んでいるのに、彼の名前がヴィクターであること自体が間違いのような気さえしてしまうのだから、慣れというものは不思議だ。
    ヴィクはヴィクで押し黙ってしまうし、本当に何がしたかったんだか。
    「ヴィク?」
    「……顔が見えなければあるいは、と思いましたが。似ていませんね」
    くすくすと肩が揺れて、ヴィクのしたかったことを理解した。複雑なようなそうでもないような。ヴィクの声音はなんとなく楽しそうだっだから、まあいいか。
    ヴィクはそれ以上何も言わなかったし、俺も特に追及する気はなかったからモニターに視線を戻す。
    ヴィクが飲んでいるエスプレッソの香りだけがふわりとラボに漂った。 464

    HayateFuunn

    DONEノヴァヴィクのつもりでノヴァヴィク未満のノヴァとジャクリーンちゃまによるヴィクの髪をラプンツェルにしちゃおうみたいな話(?)3章のEDスチルが可愛くて
    メインストの流れはガン無視しているので普通に仲いい

    捏造幼少期・ヴィクのパパとママの容姿を捏造してる描写・最後の方の終わり方がなんか納得いかない などなどの懸念材料があります
    珍しく外に出ていた。
    ジャクリーンが外に行きたいと言い出して、それならと本を読んでいたヴィクも誘って連れ出そうとしたんだ。
    ヴィクには読書の邪魔だとか真顔のまま不満そうに言われたけど、最終的には読んでいた本を抱えて、ついでに分厚い本を二冊ほどおれに押し付けるように持たせつつ、大人しくついてきてくれた。
    本はめちゃくちゃ重かったけど、拒んだらヴィクは絶対についてきてくれないから、まあこれくらいは対価だと思って甘んじて受ける。
    外と言っても父さんの研究機関にある小さな中庭だ。
    そんなに広くなくて、円形の小さな開けた空間のど真ん中にいちょうの木が一本どんと植えてあってその木を見れるように四方にベンチが置いてあるだけ。
    それでもジャクリーンははしゃいで駆け回っているし、日差しもちょうど差してきてぽかぽかで気持ちよくて、その日差しを浴びるベンチで読書しているうちにヴィクの機嫌もいくらか直ったみたいだ。廊下を歩く研究員の大人たちがおれたちを見つけて手を振ってきたから振り返す。
    ヴィクの髪は陽の光を透かしてちかちかと瞬いて見える。
    そっと触ってみるけど何も言われなかった。かなり集中して読んでいるらし 3876