抗う者達② 闇の中、志海が八木山を振り返った。
「あー、やっぱり戻ってきちゃいましたか……八木山さん」
「志海……」
八木山は痛むように顔を歪ませた。これは夢だ。奴は本物ではない。それを理解して気が重くなった。
いったい“何を企んでいる”のか……まったく、タチが悪い。
一方、志海は八木山の気持ちを知った上で無視をして、愉快そうに笑う。
「あはは、待ってたんですよ」
八木山は目を細めた。
「何?」
「八木山先生のこと、待ってたんです」
「お前が俺を待つ、だと?」
いくら夢の産物とはいえ、志海の口から絶対に出てこないであろうセリフに、背筋が粟立つ。
「おかしいですか? はは、おかしいですよね。僕もそう思います。……でもね」
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