料理と成長「今日の晩御飯は俺が作るから」
その宣言は突然のことだった。
「急に…何?」
「急でもなんでも」
きっぱりと言い切ったフォッサは「買い物してくる」とメモを手に出て行き、レプティスはただ目を丸くしてその背中を見送った。
「え……すごい」
初めてフォッサが作ったのはハンバーグだった。
休みの日で時間に余裕は見ていたようだが、それほど手間取ることもなく手ごねのハンバーグを作ってみせた。
サラダと…こちらはインスタントだがスープもある。週二で通ってもらっている家政夫さんが作ってくれている総菜もそつなく並んで栄養バランスも良さそうだ。
「熱いうちにどうぞ」
フォッサがちょっと得意げな顔でレプティスの前にカトラリーを置く。
なんせ弟の初めての料理である、兄としてはしっかり味あわなければなるまい。神妙な面持ちでレプティスはフォークとナイフを握った。
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