宝条鷹弥。
14歳。
初恋だった。
アルビノのように白い肌と髪の毛と長く綺麗な睫毛、透き通ったアクアマリンのような大きな瞳、まだ少しあどけない顔の造形、少しハスキーで甘い声。全てが儚くも美しくそれでいて可愛らしい、彼を彼たらしめる要因だった。
天然記念物として保護した方が良いとさえ思える容貌の彼が同じ教室にいることが不思議で仕方がない。
「……はい!」
こちらを向いてプリントを渡され、ニコリと微笑まれる。
「あ、りがとう……」
震える声で返事をして、後ろにプリントを回す。
1度だけ、心底楽しそうにしているのを見たことがある。
グレーの髪にキリッとした瞳、スラリと背が高いものの筋肉がしっかり着いている大人っぽい男の人が校門の前まで迎えに来ており、鷹弥くんはその人に手を差し出しその人はその手を握った。鷹弥くんは、その人と何か話したあと心底楽しそうに、今まで見たことがないくらいそれはそれは楽しそうに、口を開けて笑っていた。
私はそれを見た瞬間、恋に落ちた。
笑っていて欲しい。ずっと。あの手を握って体温を確かめてみたい。いつの間にかそう思うようになっていた。
しかし、宝条家のご子息とあれば高嶺の花。中学では何も出来ず、高校は違う
n年後、たまたまつけたテレビでオーディション番組が放送されていた。
「グリッツライズ……?」
テレビ画面に映し出されていたのは、白髪で、水色の瞳の──初恋の人。
「……ちょっとお母さんお父さんアカウント貸して!」
私が親族友人みんなに毎日鷹弥くんに投票させることとなり、ドルオタになるのはまた別の話。