黄昏時-orange town-学校からの帰途へつく。
町中を傾いた太陽が照らしている。
公園へ差し掛かると、黒い影が群がって橙色の景色に波紋を広げていた。
武上での一件以来、なんだかんだ忙しく、話す機会がなかったことを思い出すと、影の中心にいる人物へ近づいて行った。
「おっさん、またサボってる」
鳩の群れに餌を撒く彼は、まるで少年がこちらへ来るのを知っていたかのように一瞥も寄越さず、遅れて群れへ加わった一羽へ報酬を落とす。
「これが俺の仕事だからな。」
尺間表裏は、いつも通りの回答をした。
そんな彼に小言を漏らす先輩エージェントが脳裏に過ぎりつつ、彼のバディを務める破風屋 響は彼の隣のベンチへ腰を降ろす。
「こんなところで油売ってていいのか?」
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