【巽要】なんて夢を見たㅤ目を覚ますと、そこは控え室のような場所だった。
ㅤ座った記憶のないソファから辺りを見渡せば、一面の大きな鏡に待ち時間に摘めるようスタッフが用意してくれたらしいお菓子の置かれたテーブル。
ㅤ自分たちは4人グループの筈なのに、対する椅子は2つだけ。しかも、一脚は既に人が座っている。
(────HiMERUさん?)
ㅤサラサラとした空色の髪は出会った頃のように記憶よりも少しだけ短い。見知らぬ衣装に身を包む体もどこが頼りなく見えて、巽は首を傾げてしまった。
ㅤ彼と共演の話などあっただろうか。記憶力には自信があるのに、何処を巡ってもそんな仕事を受けた覚えはない。
「HiMERUさん」
ㅤ悩んでいても仕方がない。
ㅤそう考えた巽は、取り敢えず目の前の人物に声を掛けた。
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