空白を撫ぜるアミット・タッカー著のその本は、かつて私を最悪の冒険へ連れ出してくれた友人に捧ぐ、の一文から始まる。
彼の学生時代の軌跡を中心に記したその本は、彼の愛した星空や天体への憧れが中心に書かれている。その中でも特に描写に力が入っていると読者から言われているのは、著者がかの有名な魔法魔術学校の五年生だったとき。五年次からの転入生という異例の存在が話に登場してからだ。
『幸運といってよいのかわからないが、その転入生は私と同じ寮に配属されることになった。』
後にこの転入生が冒頭で著者があげていた友人だということがわかった。タッカー氏が話をどれだけ盛っているのか、果たしてすべてが真実なのか今現在知ることは叶わないが、その転入生があまりにも規格外だったことが窺える一文がある。
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