「オレ、ずっとここに居ようかな」
そう呟くと、隣から「いんじゃね」と短く返ってくる。冗談のつもりで、独り言のつもりで、何重にも保険をかけた言葉をあっさりと肯定しやがった。横目に見れば、気がついてこちらを見てくる。相変わらずの無表情。
お前も……本当、だったり。
「……するのかな」
「ごちそうさまでした」
向かいで手を合わせたそいつは、今日も変わらず幸せそうに頬を膨らませていた。流しに向かう足音を背に、俺はほっと息をつく。こっそりと練習していた料理は気に入られたようで。次は何を覚えようか、なんて食べ終わってもないのに考え始める俺の顔は酷く緩んでいるだろう。