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    nukorei

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    この前かいたカルドとチビフィンの絵の話。
    小説下手くそマンですが良かったら…

    その日カルドは午後イチで会議の予定があった。わざわざ魔法人材管理局の局長であるカルドが呼ばれたのだ。面倒だがカルドが行かねばならない案件なのだから勿論、幼くなってしまったフィンを連れて行く事はできない。
    幼くなってしまったフィンは保護という名目で普段を魔法省の魔法人材管理局で過ごす事になったが、いかんせんまだ人材管理局の人間に慣れきっていない。カルドやレインと一緒なら平気だが長い時間一人にした事はなかった。
    心身共に3、4才まで幼くなってしまった怖がりなフィンの〝安全地帯〟が長時間離れてしまったらどうなるかなど目に見えている。
    (さっさと終わらせましょう)
    カルドとてフィンと長く離れていたくはない。(唯一の癒しなのだ)その為にはさっさと行ってさっさと終わらせるのが良い。カルドは管理局の来客用ソファに座るフィンに声をかける。
    「カルドさんは大事なお仕事があるのでフィン君はここでお留守番していて下さい」
    「おるすばん…?」
    片手にレインから貰ったウサギのぬいぐるみ、もう片手に最近お気に入りのクッキーの箱を握りしめたフィンの幼い目が不安に揺れる。
    「はい、でもすぐに帰ってきますからね?ここでみんなとお留守番していてください」
    そう言うと局の部下達はフィンを安心させるようにニコリと笑い、一緒にお留守番しましょうとフィンに声をかける。そんな様子に安心したようなフィンにカルドは不安を持ちつつも開始の時間が迫る会議室へと急いだ。


    紙の上を走るペンの音、飛び交う手紙たち、局員達の忙しない声。
    フィンはそんな音を聞きながらお気に入りのクッキーをモソモソ食べていた。いつもなら美味しいはずの蜂蜜入りクッキーはまったく美味しく感じなかった。チラリと壁掛け時計を見る。フィンには時計の見方はわからないが長い針が上から下へ移動したのはわかる。
    カルドはすぐ帰ると言っていた、きっともう帰ってくるはずだ。
    フィンはソファから降りるとクッキーの箱はそのままソファに置き、ウサギのぬいぐるみを抱きしめながらカルドを迎えに行く為に人材管理局の静かに扉を開けた。
    忙殺された局員達には誰一人気付かれること無く。


    魔法省の廊下は何度か歩いたことはある。フィンは兄に手を繋いで歩いた道を思い出しながらカルドを探した。行き交う魔法省で働く人々の視線から逃れる様にウサギのぬいぐるみで目だけを残し顔を隠し一生懸命カルドを探す。
    ふとやけに人の往来が多い大きな階段を見つけた。人が多いということはきっとカルドもこっちの方にいる。確信したフィンは階段の方へ向かったその時だった。
    強い衝撃を受けたフィンは後ろに倒れ込んだ。
    「なんで魔法省にガキがいるんだ!」
    突然の怒号にフィンは体が固まってしまった。
    目の前に恰幅の良い中年の男がいた。フィンを指差すその指にはギラギラと光る指輪をしていて上等なスーツを身につけている。所謂貴族階級の男にフィンはぶつかってしまったようだった。
    何かを捲し立てる男の言葉など恐怖に支配されたフィンに理解などできるわけがなくぬいぐるみを抱きしめる事しかできなかった。
    その態度が気に食わなかった男はフィンのぬいぐるみを奪い投げ捨て胸ぐらを掴み無理矢理立たせると謝れと怒鳴りつける。
    もうフィンは恐怖でいっぱいだ、体は震え涙を堪えるだけで精一杯なのだ。
    そんな様子に男の怒りも頂点に達し、あまりにも生意気な態度にそのギラつかせた大きな指輪のついた拳でフィン小さな頬を殴りつけた。
    頭がぐわんぐわんする。頬が焼けるように熱い。その場に倒れたフィンは頬の痛みを理解すると大声で泣き叫んだ。
    すでにできている人集りの誰かが人を呼ぶように叫んでいる、男は泣き叫ぶフィンにうるさいと怒鳴る。収集のつかなくなってしまった場に静かな声が通る。
    「何事ですか」
    現れたのはフィンがずっと探していた神覚者カルドだった。
    人集りを割って入り中心の二人を見るや否やカルドは即座にフィンを抱き上げ懐からハンカチを出すと泣き止まないフィンの涙を拭った。そして真っ赤に腫れている頬をまじまじと見る。
    「貴方がしたのですか?この子に」
    突然の神覚者の登場に思わず怯む男
    「し、神覚者様!私はそこの子供に礼儀を教えて…」
    「殴ったんですか?小さな子供を」
    薄らと見える赤い瞳は怒りに染まっていた。
    なにがどう理由だろうと許されない。観念した男は事の顛末を洗いざらい、白状したのだった。



    カルドの執務室にて、治療を受けたフィンはぬいぐるみを抱きしめ泣き疲れてソファで寝ていた。
    「もう君を一人にはできませんね」
    ため息を吐きつつも穏やかに笑うカルドはフィンの頭を優しく撫でる。頬の腫れは直ぐ引くそうだが指輪で傷つけられた頬傷は治るまで暫くかかるらしい。
    「これはレインに怒られてしまいますね」
    一、二時間なら大丈夫だろうと油断した自分が甘かったのだから受け入れよう。この子は泣き虫で寂しがり屋だとわかっていたのに。
    「起きたらレインも呼んでご飯でも食べに行きましょうか」
    この子には今、楽しい嬉しいが必要なのだから。
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