はじめまして、愛しています ――視界が白く霞む。何も見えない中で、大切なものが零れ落ちていく感覚があった。
「うっ…」
「ベレス!目が覚めたのか!!」
「母上!」
目が覚めると天蓋付きの寝台が目に入る。その傍らで眼帯をつけた金髪碧眼の男と、男によく似た少年が泣きそうな目で自分を見つめていた。
「良かった…お前が無事で……」
「母上…母上……」
「ははうえ…?」
状況を理解したベレスは困惑する。枕に落ちた髪の毛を見て、自分はこんな髪の色をしていただろうかと。子供を産んだ覚えもなければ、結婚した覚えもない。
「父上、すぐにお医者様の手配を。それからセテス殿にお伝えしてきます」
「ああ、頼んだ。くれぐれも弟妹たちには悟られないようにな」
「はい!」
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