ふぇいとすとーんおやつ「——次、か」
ペルセウスは甲板に出る扉を前に、どこへでもなく言葉を呟いた。彼が見ている甲板には、白い戦闘装束に身を包んだ藤丸立香の姿がある。
汗をかき、目元からは涙なのかなんなのか、そも体液かどうかも分からない透明な液体を溢しながら、立香は令呪の手を握りしめて絶叫を繰り返している。
「アア、ぁ、ッ次ッ、つぎ……メルトリリス!!」
彼の前では、プリマドンナが最後の演目を披露して、儚くも可憐に踊っているが、もうそのトゥシューズは刃毀れを見せ始めていた。
「良くってよ。プリマは最後まで踊るものだわ」
メルトリリスのアラベスクが、ORTの爪にかかる。
その光景を……ペルセウスは見ていた。
「……少しでもORTを削れると良いのだけれど」
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