makeshift「うあああっー! 影山…総帥ぃーーっ!!」
泣き崩れる鬼道を見て、彼が番を失ったことを知った。
鬼道は昨日から様子がおかしかった。何か大きな支えを失って、不安定になったかのような。必死に隠していたが、彼をよく観察していた不動には分かっていた。
その原因が今、判明した。影山零治が死に、番の絆を失ったからだったのだ。
不動はうずくまって声にならない声をあげる鬼道を支えた。
「あっ……ぐ……うっ……」
「立てよ、鬼道」
どれほどの痛みなのだろう。どれほどの苦しみなのだろう。番を持ったことのない不動には分からない。
鬼道を支え、宿福の部屋へ戻った。チームメイトは皆、あまりの事態に見守ることしかできないようだった。あの佐久間でさえも。彼は不動が付いているなら、自分は円堂たちに同行して後で報告できるようにとも考えたかもしれない。
2906