ミッドナイトハント 真夜中、初秋の森は肌寒い風がゆるやかに木々の間を流れていた。
空は闇に覆われ、鎌のような月だけが心細そうに、だがはっきりと冷たい光を放っている。
森を抜けた不動はゆっくりと、広い草原の合間に作られた馬車道を踏みしめていた。
すぐ脇の茂みの中から、唸り声をあげて魔物が飛びかかる。通行人を待ち伏せしていたらしい。
「ハッ、シュミ悪ィ」
素早く身をかがめてかわすと、転がった勢いで起き上がり、振り向きざまに銃の引き金を引いた。連続で撃ち込んだ銀弾は、魔物を一撃で塵に変えていく。
三体の叫び声が硝煙と共に溶けていき、周囲には静寂が戻る。
そのおかげで、じゃり、と背後に現れた足音に気付いた。
「ッ!」
振り向いて胸元を掴むと、相手は一瞬驚いたようだった。吸血鬼の瞬間移動は、何度感じても慣れない。
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