明白なる天命 彼女は言った。「最初で最後の恋だった」と。
初恋かどうかはわからない。こんな気持ちになるなんての大きな表現に過ぎないかもしれないけれど、僕にとってそれは最上の喜びであったことは否定しようがない。
まさに僕も同じ気持ちだった。
運命の人というのは、きっと彼女のことなんだと全身全霊を持って言えたからだ。
結婚せず子も成さず、シュラウド家の継承なんてくそくらえなんて思っていた時期だってある。
実際心のどこかではそう思い続けてきていた。
でもそれは許されない事であるのは明白で。
天命そのもの。
シュラウド家は世代を跨ぎ、祝福されながら誕生して呪われるのが運命なのだから。
だから誰かと結ばれる未来は確定しているけれど、それが好意があるかないかなんて当時はどうだってよかった。
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