声ばかりはどうしようもない、と審問官は語った。「ソローネ君、念のため確認しますが、これは拷問器具ではないのですよね」
「ただのコルセットだよ、名探偵。つべこべ言わず息吐きな」
好奇心に従って謎に首を突っ込んだのは名探偵で、それに乗っかったのは助手だった。
曰く、ニューデルスタの遊戯場で、最近富豪の女性ばかりが客として集まる賭博が行われているらしい──と。
なぜ女性ばかりなのか?一体どんなことが行われているのか?
「気になりませんか?」
いつもの胡散臭い微笑みで、名探偵こと異端審問官テメノスはソローネに問いかけた。
夜間にニューデルスタの裏通りを一人で歩いて情報収集する神官なんて、大陸中探してもこいつくらいだろうなと思いながら、ソローネはグラスに残ったワインを飲み干す。
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