同じ地獄で待つ6/五夏「いつもの養豚場にやって」
外に待機していた運転手に指示を出し、部下も数人集める。別に夏油が全部やってもいいが、ひとりで行動すると部下の立つ瀬がないと言われるのだ。夏油の部下は、夏油に忠実ではあるが、言うことは言う連中が多い。中には夏油を小さい頃から見てきたような人間もいるので、あまり強くは言えないのだ。
「着きました」
東京湾アクアラインを経由して、千葉県に入る。走り出してから一時間と少しして、運転手が静かに車を駐めた。
ここは、いつもこういう時に使っている養豚場のひとつだ。養豚場は便利である。豚はなんでも食べてくれるから、証拠というものがが残らない。ここの主は夏油に長年借金をしているので、よく使わせてもらっていた。ちょうど呼び出した部下も同じ頃合いで到着したので、部下達に男を担がせ、豚舎の方に向かう。
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