おそろ イアスがそこにやってきたのは偶然とも必然とも言えた。
六分街にあるビデオショップ・Random Playにて、いつものメンテナンスを終えたボンプのイアスは、自身の主人である店主の兄妹を手伝うべく外に出ていた。プロキシというあまり大っぴらにできない顔を持つふたりのため、ホロウ内で彼らの手足となり目となるイアスは、やっぱり大っぴらに外に出ることはできない。けれどひと気も少ない深夜帯のゴミ捨てくらいならと小さな体で大きなゴミ袋を抱え、イアスは店の裏手にあるゴミ箱へと向かったのである。
裏口のドアを閉め、たまさか耳にした普段あまり聞かないエンジン音にふと顔を上げた。
その瞬間に視界がブラックアウト。声を上げる暇なぞ一秒だってなかったことは、イアスの視覚記録を解析すればわかるだろう。
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