Two of us7
発光を纏った、一匹のオーベムが居た。暗くなった空と、光る身体のコントラストは人の心を不安にさせる。そう、オーベムが、居たのだ。
ワイルドエリアで時折姿を現す飛翔体、近づけば逃げていくその姿を可愛いと思ったことはあれ、不気味だと感じたことは一度もないのに。
ただ、このオーベムと目を合わせた時……。得体の知れない、妙な落ち着かなさを感じたのはどうしてだろうか。野生のポケモンに、臆したことなど一度もないのに。
このオーベムは、何かをし慣れている気がする……。例えるならば、思想を拗らせた人間の研究者から向けられる視線のような……。
【テレポート】
そうやって、意識の片隅で考えている間に。カブの身体は光に包まれ、オーベムと共に別の場所へと転送された。白く飛んだ視界が、まったく別の空間へと移り変わる。
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