エメラルドグリーンの泡沫に、キスを。2「…………シンジ君、ここは?」
「喫茶店。コーヒーとか色々な食事が楽しめる場所だよ。空いてれば勉強もできる」
「キッサテン…………」
それから数日後の放課後。シンジはカヲルを連れて街中に建つ馴染みの喫茶店へと足を運んだ。
今までは食べるのが苦痛みたいだったからこういうところに渚と2人で来るのは敢えて避けてたんだよな。今日は渚も今までとは心持ち少し違うみたいだし、何かいいきっかけが作れるかもしれない…………
木造建築で寂れた店のドアを開けばカランカランと上部に取り付けられた小さな鐘が鳴り、コーヒーの香ばしい香りが鼻腔を擽る。平日の夕方ということもあってか、買い物帰りの親子やお年寄りが数名談笑する姿、女子高生がケーキを味わっている姿があるくらいで空席のほうが多かった。
5537