勇者の証 ミスターやましたの家で夕飯の支度を手伝っていたら、手の甲に油が飛んだ。熱すぎて「熱いって痛覚の反応なんだな」と感じるほどに痛かった。
冷やしな、と慌てるミスターやましたに従って、流水に手を浸す。今度は冷たくて痛い。だけど水から手を離すと、やっぱり火傷した部分が痛い。
「あとになっちゃうかもねえ」
「やだなあ」
アイドルにしては呑気な会話をしながら、野菜の揚げびたしを食べる。こんなに目立つところに跡ができてしまうのは結構ショックだけれど、やっちゃったものは仕方ない。軟膏を塗って、痛くなったら流水に浸すことしか出来ない。
「ゲームのブレイブになった気分」
「勇者? どうして?」
「激しいアドベンチャーの証。勇敢なバトルを物語ってるケガ」
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