《 偏愛2 》「ジェイド先輩の好きなところ?えーっと頭が良くて格好良くって、それから、」
へーへー、お熱いこって。
呆れた声に返されたのは、すでに懐かしい学生時代のこと。
◇
「ならばここを出て行きますか?あなた、僕無しでどうやって生きていくおつもりで?」
ちょっとした言い合いの最中に投げつけられた言葉。歪に口角を吊り上げたジェイドの挑発的な瞳に見下げられたユウは、頭の中心が急速に冷えていくのを感じた。自身を取り囲む空気がどろり、と澱む。それはまるでスライムが肌を滑り落ちていくような、粘性をもった不快感。
何故
何故、
何故。
どうしてそんな、つまらないことを言うの。
彼女の心を満たしたのはありがちな悲しみなどでは無い。真っ赤な怒りだ。
1417