ひと齧り、召し上がれ ゆったりとソファに腰かけながら、美味しい紅茶を飲み、美味しい茶菓子を食べる。今日はふわふわのスフレケーキだった。生クリームとブルーベリージャムが添えられている。
フォークが空気を切るように入っていく。少し大きめの一口分を乗せて頬張ると、口の中で溶けてしまう。
あれ、これは空気? 空気を食べてる? でもすごい美味しい。こんな空気なら一生食べていたい。地球上の酸素、全部これに変わらないかな。
もう一口食べたところで、誰かに見られていることに気が付いた。
誰か、なんて回りくどい言い方をしなくても、今この美術室にいるのはわたしと、このスフレケーキを作った不良くんだけだ。
「ちょっと不良くん、食事中の人をじろじろ見るのはマナー違反だって知らないの?」
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