[7/30] 30話後、次元を超えるエースとアリス どこに座ったら良いのか迷ったアリスは、草原の上にハンカチを広げてから腰を下ろした。手渡されたマグカップからは、珈琲の良い香りが立ち上っている。
「青空の下、星空の下で飲む珈琲も、旅の醍醐味だよな!」
エースは焚き火を挟んで向かいに座ると、晴れ渡った空を暢気に見上げた。あと少し歩くだけで屋根のある場所で落ち着いて飲めるけどね、という無粋な発言をぐっと堪え、アリスは適当に話を振る。
「旅って主に何をしているの?」
「俺の旅には目的なんて無いよ。風の向くままに歩いて、気の向くままに寝起きして、心の赴くままに自然と共に過ごす。自由気儘な旅だ」
手土産に貰ったチョコレートを立て続けに三粒口に放り込み、エースは珈琲を啜った。
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