本の中からこんにちは。 ライカは図書館にやってきた。何をするためかと言われたら、ただ単純に宿題を片付けるためだった。学校ではダメだ、頭の悪い同級生たちに邪魔される。家はもっとダメだ、あんな場所は自宅といえたものでさえないがとにかくダメだろう。
紙と埃の匂いを感じながら、ライカはできるだけ物音を立てないように歩く。こつこつ足を鳴らしてしまっては、静かな空間に申し訳がつかない気がするのだろう。哀れなことだ、知識を求める人間を歓迎する場所だと言うのに。
勉強用の机を一席借り、ライカは宿題を広げる。けれどもその手はあまり進まない、幼稚な問題ばかりで退屈なのだろうか。それとも根本的に授業の内容を覚えていなかったのだろうか。
「やぁライカ、宿題は順調かね」
1914