9 熱き絶対零度九 熱き絶対零度
ブルーノたちは手に入れたオートモービルで一気にウェネトゥスに向かいました。尾行してくる者もありません。このまま夜通し走れば朝には着ける算段です。
ブルーノが亀の中で待機していると、久しぶりに無線機に王様からの連絡が入りました。王様からの連絡はこうでした。
アバティーノの『ムーディー・ジャズ』で
ダイニングチェアーの近くで
十時間以上まきもどせ
アバティーノは指示の通りにムーディー・ジャズを出すと、十時間以上時間を巻き戻させます。ムーディー・ジャズのおでこのフラップ時計がパタパタと逆回転を始めました。十時間を超え、十一時間ほど巻き戻った頃でしょうか。ムーディー・ジャズが動き出し、一人の小さなおじいさんになりました。ブルーノ達がよく知っている姿です。
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