陽だまりのんびり襲撃事件左肩に一匹。
足元に一匹。
右肩には操。
背中に二匹。
どいつもこいつもすやすやと寝息を立てて眠りの中。
どうしてこうなった。
十数分前に向けて考えを巡らせてみる。
昼食の後、天気もいいし、縁側で座禅を組んでいた。これはいつも通り。
操がやってくるのも、いつもどおり。
隣で座禅に挑戦した操が数分で寝落ちするのも、いつもどおりだ。
それからなぜか猫がやたらやってくる。これはいつも通りではない。
「・・・そろそろ人を呼ぶか・・・」
足のしびれはないし、長時間の瞑想に慣れているから問題はないが、さすがにこの量では瞑想どころではない。ただ、問題はどう、この猫たちを退けるかだ。
ネコを押しのける、もしくは掴むことはできるだろう。だが、いかんせん力加減がわからない。脇をつかめば体が伸びるし、首元をつかめば骨をへし折ってしまいそうだ。
おまけに操も心地よさそうに寝ているものだから、起こすのも忍びない。
神谷と弥彦が適任だろうが、この時間は稽古で道場にいるだろう。
相楽は論外。猫をよけようとする中で操を起こす可能性が高い。
あとは・・・
「おろ?」
そうだ。こいつは天気のいい昼は洗濯に勤しむのだった。正直、この姿は見られたくなかったが。
「こいつらのせいで動けなくなった。手を借りたい。」
「承知した。ほら、こっちでござるよ・・・」
小さく手招きをしたとたんに一斉に猫たちが目を覚まし、緋村の方に寄って行く。
やっと動かせるようになった左腕を伸ばす。
「すごいな。」
「前に寺に泊まった時にも猫が寄ってきて、大変だったでござるよ。蒼紫は猫が苦手でござるか?」
「苦手ではないが…その、加減がわからん。普段はこんなに寄ってこないのだが」
今日に限ってなぜ自分に猫がやたら寄ってきたのか。
考えを巡らせているうちに、ぼんやりと操が目を覚ました。
「ふわぁ・・・昼の焼き魚・・・じゃない?おはよ・・・あおしさま・・」
「俺も手伝ったな…」
そうだ。数が多いから、捌くのを手伝った。そのあと手はしっかり洗ったはずだが…嗅ぎつけられたのか。やっと納得がいった。
「操殿、蒼紫、何か飲むものを持ってくるでござるよ。」
「ありがとー・・・ひむら・・・」