半ロナワンライ「水族館」「水族館に泊まれるイベントがあるらしいぞ。ナイトアクアリウムというらしい」
何気なく口にした言葉へのロナルドの反応は、「えっ!?なにそれ!?行きたい!行こうぜ!半田!」だった。
小さな水槽が並ぶ前をロナルドはキョロキョロと見回しながら歩いていく。その小脇には寝袋が抱えられている。
ロナルドが足を止めたのは、ひときわ大きな水槽の前だった。
「俺、ここがいい!」
「さっき貴様が美味そうに食べていたタカアシガニの前でなくていいのか?」
体長1メートル以上もある大きな脚の長いカニが詰め込まれた水槽を指さすと、ロナルドはギョッとした表情を浮かべて気まずそうに水槽から目を逸らした。
「お、お前だって食ってただろ!」
必死に言い返すロナルドを尻目に俺は目の前の大きな水槽に視線を向ける。高さは俺やロナルドの身長の3倍はあるだろう。たくさんの魚が泳いでいる中で俺の目が吸い寄せられたのは、アクリル板に写ったロナルドの姿だった。
983