恐魚の群れとの戦闘を終え、ウルピアヌスと最後の騎士はロシナンテに乗り、再び海を移動するはずだった。
しかし、ロシナンテに乗る前にふとウルピアヌスを見た最後の騎士は、そのまま動きを止めた。
「どうした?」
とウルピアヌスが問う。
ロシナンテも不思議そうな様子で自分の主人を見ている。
最後の騎士は答えず、ウルピアヌスへと近づく。
「……?」
そして、ウルピアヌスの目の前まで来ると、武器を持っていない左手を伸ばし―波や海の生き物に槍を振るう時とは全く逆の、ごくごく軽い力で、ウルピアヌスの右頬を撫でた。
「……!?」
ウルピアヌスは予想外の最後の騎士の行動に驚きつつ、自分の頬に手を伸ばす。
そして、最後の騎士がやったように指を滑らせると、わずかに感触の違うところがあった。
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