夏の終わりの線香花火 夜でもまだ残暑が続く暑さだが、なんとなく感じる風や遠くから微かに聞こえる虫の音に夏の終わりを感じるなと、ぼんやり思う。
お盆も終わり、八月がもう終わろうとしている。暑さは残っているが、すでに秋に向かっていることを思いながら嵐山は自宅への帰り道を歩いていた。
夏も終わる……、そう思いながら夏のイベントを思い浮かべる。海、プール、キャンプ、花火大会、夏祭り……いろいろある夏のイベントだが、残念ながら今年はどれも満足にできていない。ボーダーでの任務や広報のイベント、そして大学生としての本分である勉強などに追われて、いつの間にかそのイベントを楽しむタイミングを逃してしまっていた。
……まあ自分も忙しかったのだが、なによりもそんなイベントを一緒にやりたかった相手、恋人である迅悠一も嵐山に負けず劣らず多忙だったようで、このままなにもできないまま夏が終わりそうな予感がする。
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